フードバンクの周辺⑧ ホームレスな夫婦(⑥の続き)

市貝町はとても良いところ、こんな自然があります。
市貝町はとても良いところ、こんな自然があります。

「ホームレスな夫婦の支援の話」の続きをします。

あと4日で家賃期限、しかも所持金300円

 自宅で事情を聞いているうちに緊急に処理すべき問題が二つ浮き上がってきました。1つめは「12月25日に家賃を払わなければいけないこと」。入居するとき大家さんとの約束で滞納したら家を出ていかなければならない約束をしていた。いくら約束とはいえ家を出ていかないこともできますが、いちおうの約束の期限はあと4日です。もう一つは「所持金が300円しかないこと」。生活保護費の申請はしていたのですが、受給するまでは1か月ほどかかります。このまま放っておいたのでは、生きていくために食品小売店で万引きをする等の犯罪に手を染めるかもしれません。しかも今日は12月21日、すぐに日本全国年末年始の休みに入り、官民共に対応がきかなくなってしまいます。

大家さんと福祉事務所へ 同行して支援

 そこでとりあえず、近くに住む大家さんのところに一緒に行って事情を説明して家賃を待ってもらうことを頼みに行くことにしました。大家さんは高齢の女性で、昔気質の厳しい方でした。が、根は優しい方で雑談を含め2時間ほどの交渉でお金が入るまで待ってくれることになりました。住居の確保ができたら次は生活費の確保をしなければならない。とりあえず福祉事務所に行って相談することにしました。事情を説明すると、役所と社会福祉協議会とで対応していただき、社会福祉協議会の小口貸付金を使うことになりました。この時点で午後5時になり本日の対応はここまでとなった。

「ぎりぎりまで頑張りすぎない」ことが重要

 翌日また相談者の家に寄り、戸籍謄本を発行してもらいに役所へ同行する。もう記憶があまり定かではないが発行するのに650円かかったと思う。相談者は300円しかもっていないので、自力で発行してもらうことができない。私がお金を立て替えて、戸籍謄本を発行することができました。

 ここで得られる教訓は、助かるにもお金が必要だということです。あまりぎりぎりまで頑張りすぎると、自分を助けるための申請ができなくなる可能性があります。

 生活保護の審査を受けるのに自分がお金がないことを証明するわけですが、その証明の一つに預金通帳があります。預金通帳の所在を確認したところ、二つあるはずの通帳が一つ紛失していました。審査日に発行が間に合わないので、これは残高証明で対応することにしました。

何とか任務完了?

 このような対応を取って何とか無事に小口貸付金で何とか生活費を確保し、生活保護の申請も無事終了いたしました。大家さんも暖かく見守ってくれることになり、年を越せることとなりました。

 2か月程して相談者からお礼の電話がありました。まだ色々解決すべき問題はありますが、元気そうな声だったので安心しました。このままうまくいってくれるといいなと心から思いました。

 

                   不肖のトクヤマ

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