フードバンクの周辺2014⑤ 一人親方の苦悩

写真はイメージです
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SOSの電話
 56歳、男性。市内の貸家に妻(内縁)と二人暮らし。若い頃から一人親方で妻と二人、工事現場の廃棄物処理を請け負って生計を経てていた。工事現場から落下して腰を骨折、6月に退院したばかり。日雇いの為、働かないと収入が無く、福祉課に相談したが、融資は断られ、食料ならば、とちぎボランティアネットワークへ行ったら、みたいなことを言われた為、本人からVネットに電話があった。

 

乱暴な口ぶり
食料はそんなに欲しいという感じではなかったが、とにかくどんな暮らしぶりか訪問してみた。電話での福田さんは少々常識の無い乱暴な口の利き方で「今すぐ米もってこー」と言ったり、時には「死にて~生きてたってしゃねーべー」としょげたりと混乱している。乱暴な人なんだけれどやっぱり親方らしく電話の最後に何時も「ありがとうございました」とお礼を言う。訪問してみると、借家の庭に現場で使う工具類や廃棄物やトラックが置いてある。築50年くらいの古い家の中は整理されていた。本人は上半身裸にコルセットを付け、まだ身体が痺れていて、思うように仕事ができない。

 

仲間が保険
一日でも仕事をしないと収入にならないと話す。食料については問題ないようで、友人から安く米を買い、野菜類はもらってくる。「おれにはよー友達がいるからなんとかなるんだよ」と繰り返す。仕事がない時は友達からまわして貰ったり、自分の仕事をまわしたりして厳しい時など助け合っているのが解る。一人親方はそんな仲間関係が一つの保険なんだろう。生命保険の取り崩しなどの提案もしてみたが、切れているらしい。


天気に左右される不安定な収入 
日雇い労働者は天候に影響され、収入を絶たれてしまう。現場で事故ったら、保険が無い場合一日も早く仕事をしたいだろう。けれど身体が思うように動かないので、誰かに助けを求めるのも当たり前だ。フードバンクは、食糧提供をしながら、何か良い方策がないかを一緒になって考えていく。その人の身になって考えることが重要なポイントだ。
保険(補償)に加入していないと、「こんなはずではなかった」と言うことになるのがよくわかる。保険に入らないのは信じられない!と言われそうだが、仕事がなければ収入が無く、まして誰かを雇えば賃金が発生する。サラリーマンの発想とは全く違う、一人親方の孤独と苦悩に気づかされる。(キク)

 

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