FBの周辺②・・・収入15万、携帯代5万。ライトな感覚で借金できる社会の落とし穴。

写真と文は関係ありません。
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怒鳴りあいが絶えない家

 主婦の照坂(仮名30代)さんは、夫と2人の子供、実父と弟の5人家族。一戸建ての貸家に住んでいる。夫は宅配便の運転手をしているが人間関係を作ることが苦手で同僚や経営者とトラブルを起こし転職の繰り返し。収入が安定していない。本人も以前は働いていたが、体調が悪く専業主婦になっている。父親(60代)は資格を活かして専門職について働いているが、弟(30代)は過去に、過労状態が続きうつ病になり仕事ができないでいる。息子2人は中学生という家族の状況。さらに、猫や犬などを3匹飼っていている。

 基本的に困窮状態が続く照坂さん家族は日頃からストレスがたまっているので、ちょっとしたトラブルで怒鳴り合いのけんかが絶えない。夫は先月会社で同僚と喧嘩をして会社を退職して無職状態なので、収入は父親の15万円に家族全員がぶら下がっている状態だ。現状では生活が成り立たないので、緊急避難的に生活保護を一旦受けてみてはと提案するが、車を手放すことができないので生活保護の提案は却下された。

 

●PTAも会社もメール。スマホ・携帯を全員が所有

 出費の状況を確認すると、家族全員が携帯電話及びスマートフォンを所有していて毎月の出費が5万近くなることだった。収入からすると電話代が5万円はとても出費の比率が高いが、学校の連絡が携帯電話が前提になっていたり、PTAでの連絡、会社の連絡もメールやSNSを前提とした通信形態となっていて手放せる状態ではないということだ。「おサイフケータイ」とかいって携帯電話があれば、手元にお金が無くても物が買えてしまうなどライトな感覚で借金ができてしまう。

 20年前と比べてとても便利な世の中にはなったが、その反面落とし穴が多く、企業の側には悪意はなくとも結果的に人を不幸に落とし込んでしまう。孤立が進んでいる社会においては、他人に助けを求める前に便利なシステムの中に落ちていって身動きがとれなくなってしまう。自己責任といえばそれまでだが、それだけで済ましてしまっていると照坂さんの事例が無くならないと実感する。

 

●FB食品を渡しつつ、家計簿をつけてもらう

 相談者の照坂さんは、元々家計管理が苦手なのと家族関係の悪化によるストレスにより精神状態も不安定になっていてなかなかアドバイスを聞いてもらえず、硬直状態になっている。フードバンクから食品を渡すことを条件に家計簿をつけてもらって出費の全容を掴み改善を提案することを試みるがなかなか進展しない。第三の波(情報革命)に弱い人間が飲み込まれてしまっている。(NOBOR)

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